その灰を緒に詰めなさって魚さまら喜々と宣わることには、 「あふ愛い、あがつ児。あがつ児。」と。 九段の梯子に後手縛れる郎女嘶き、罪を謡う翁は鋒鋩にて禿頭掻く。 極色を纏ふ僭主憐憫の相を成し、双つの目目より縹の毒をこぼす。 咽喉笛を洗うゑて公、魂消て手の平をはなしてしまう。 くちびるの無い児、それを得て云うことには おんぎゅぅあ。 (ゆえに)。 黙しては決して語らじ。 言の葉はかか様の、優しいおなかの中に忘れたそうな。 あはれや、罪の子。ことばの無い子。 今日の行方も杳として知り得ぬ。 然して――オヤマァ。 噂をすれば。白痴の男妾を囲い、老僧身を窶したとか。 |